教化学研究1 現代宗教研究第44号別冊 2010年03月 発行
日蓮大聖人の教えを広める布教のヒント
日蓮大聖人の教えを広める布教のヒント
有 本 智 心
一、沈香も焚かず屁も放(ひ)らず。
カエルの面に小便こんな人は魅力がない。
●無表情、反論のない人程、布教が難しい。ウルサイ人や特徴のある人ほど、素直に聞く
二、相手変われど主変わらず。
●毎日、同じお経で退屈かもしれないが、相手が違うと再び一から繰り返すことが布教
三、仏具には一寸贅沢を。
●何時までも良いものは粗末にしない
四、新婚の花嫁さんから布教を。
●嫁いで来たお嫁さんには当家が日蓮宗である事を教え、嫁いでいく娘さんには実家が法華経信仰の家であった事を自覚させる為をお祝いに数珠を進呈(生涯使える良いものを)
五、宣伝という言葉は仏教がルーツ。
●「宣伝とは続ける事、止めると忘れられる。知った人は減っていき知らない人が次々と生まれてくる。その人たちのため宣伝するのです。皆さん一日に何人生まれ、何人亡くなると思いますか」と代理店の会議で松下幸之助が宣伝の大切さを教えた。その言葉が法華経の随所に強調されている。
六、布施を拒否するな。
●香典を拒否する事が美徳と思っている人やお返しが面倒と思う人は、利己主義者か(声聞、縁覚の二乗)佛様は貰ってあげなさいと観音菩薩に仰った(観世音菩薩品を参照下さい)
*、卍(まんじ)は心を表す。
●佛の三十二相=胸に萬字を表して(無量義経徳行品第一)/地図のお寺のマークを見よ=心の拠り所の意)
七、善悪不二、法華経は絶対(立)、余経は相対(立)。
●アンパンマンはバイキンマンがいればこそ正義の味方である。善と悪は切り離せない娑婆世界。
八、お坊さんと警察官は、ユニフォームを見せろ。
●警察官は街を歩くだけで治安になり、お坊さんは仏縁が出来る。
九、ボケて約束を忘れる。
●本堂の再建に寄付させて頂きますと約束したが痴呆で忘れたおばあさん。元気な間にして貰え。でなければ縁はなかったものと諦めよう!
十、昔から兄弟は仲の悪いもの。
●多くの弟子の中で「アジャセ」が一番、気になった釈尊。例えば七子あり。その中で最も気にかかるのは、不出来か、病弱の子。
●動物の集団では、雄は一人前近くなると、集団から追い出される例。
十一、久米の仙人もやはり男、女人は元気の源。
●飛行中、洗濯している若い女の太ももを見て墜落し神通力を失ったが、ケガをしてその女性に助けられ、幸せな家庭を持った仙人。どちらが良いか。
●「男の仕業は女の力なり」「女人となる事は物に従って物を従える身なり」英雄色を好むは活力ある人をいうが。やさしい女性と話せるのは人生の幸せのもと。
十二、百聞は一見に如かず。
●仏事は絶えず嫁や子、孫に話せ。そして見せよ。ブツブツ言いながら、聞こえるようにするのが良い。押しつけに、ならないように。
十三、亀に負けてやったウサギの菩薩行。
●何時も何事も負け続けている亀の劣等感を自信に変えさせたウサギ。
●月の中に住む(松野殿女房ご返事)も参考に。
十四、仲良しグループは坊ちゃん、お嬢さんの寄り集まり、荒波に弱い。ケンカや憎しみ、妬みのあるのが裟婆。
●アマチュアは和して強くなり、プロは強くなって和するものだ。
十五、改宗や仏事のリーダーは女性。
●男が強い信仰でリードする家庭は少ない。多くの家庭の信仰のリーダーは女性。こんな家はお題目が長く受け継がれる。
十六、ライバルの勢いに刺激されて強くなる。
●巨人は阪神があればこそ、阪神は巨人に感謝せねば。「六甲おろし」も又、楽し。
*人間は地、水、火、風、空の五大からなる話。
●私達の肉体は五大からなる(五行説)(御義口伝=取意) 地(肉体=発育) 水(血=浄化) 火(焼く=体温、エネルギー) 風(呼吸=塵埃を払う) 空(空気=回復、新鮮)
十七、親は常に子を思えども、子は親を思わず。
●映画「ALLWAYS三丁目の夕日」より=母の心配と非情こそ本当の愛情。
十八、親の死は子の信仰のリフレッシュ。
●親の死によって、子供が目覚める信仰心
十九、人生七転び八起き。
●芥川龍之介の小説「杜子春」の教訓
二十、信ぜずば、せめての事に謗れかし、汚れぬ衣は洗われもせず。地に倒れ、その地に手をついて起き上がる。
●「もしは信もしは謗、よって倒れによって起く」(唱法華題目抄)
二十一、年寄りの智慧は潤滑油。
●とっさの機転で、暗さを救うユーモアを日頃から蓄えておけ。
二十二、早さも色々。
●速い=速やかに/比べて一番早い。即=パッと急転して早い。手のひらをかえす如し/則=他と同様に早い/疾=一瞬早い(我則歓喜是則勇猛則為疾得(宝塔偈))
二十三、女は男を財とし男は女を命とす。女がリードで平和。
●男女平等以上のお祖師様の女性評価、好きも嫌いも、女編の字。女に好かれない男はリーダーに慣れない。男編の字は一字位、女編の字は八五四字もある。
二十四、お盆という字はお皿に分けると書く。
●お盆のお迎えは子供や孫にも手伝わせろ
二十五、夏休みは孫たちれとお経を上げたい。
●中々子供や孫に教える機会が少ないが、親よりお祖父さんやお祖母さんと共に上げる方が優しい。親は気が短い。
二十六、法華の太鼓からオリンピックマーチまで。
●明治二年、横浜、日蓮宗、妙香寺の境内で、日本の軍楽隊演奏が始まった。そして国歌「君が代」が生まれた。
*心(こころ)はあらゆる衆生にあるが、使い方を知っているのは人間だけ。法華経に説かれた性、情、意の違い。
●性(こころ)(理性、性質等「生まれながらの心」(方便品)
●情(こころ)(愛情。情熱等)「限りなく清い、美しい心」(壽量品)
●意(こころ)(好意、意思等)「行動を起こす、実行する」(薬王品以下流通分)
△したがって法華経に説かれる思想は、一貫して「佛の慈悲=愛情」である。
二十七、ボケナイ内に戒名を下さい。
●「先ず臨終の事を習うて後に、他事を習うべし、この位の信仰心を持って貰いたいものだ。
二十八、子供に教わる信仰心。
●「お坊さん、鳥が死んでいるよ」と子供が言って来たので、直ちに対応。こんな一時がチャンス。すぐ丁寧に目の前で供養して灰を撒き、新聞紙で包み、水でその地を洗い、持ち帰る所を見せる。後で必ず「あれからどうしたの」と尋ねるので、埋めた現場を見せると納得。
二十九、子供に叱られて老親は喜べ。
●「諫臣、國に在れば則ちその國正しく、家に争子あれば則ちその家直し」(与北條時宗書)
三十、聖徳太子の佛教興隆が、今日の日本の発展の基。
●世界一の新幹線や自動車等は佛教から。それは文字を知り、心を教えられたから。
三十一、真の日本人の教育は、今も昔も同じ筈。
●硫黄島の指揮官、栗林中将が「命の尊さ」を教えた教訓。七百年前から男女平等を仰った日蓮聖人。
三十二、子供の時から合掌を。簡単な様でなかなか出来ない。
●「但行礼拝」の宗門運動だが、道行く知り合いの人に出会っても、すぐ合掌出来る人は稀だ。日常から作法を身につけていないと出来ない。今の警官ですら、敬礼をしない。これは常にしていないからだ。子供はすぐに反応してくれる。女の子の方が早い。出来るだけ子供に合掌して見せるように実行したい。
三十三、企業も続けることは難しい。
●我が国に、創業以来百年以上の企業が二万一千社あるという。寺院を入れると更に多くなる。これは世界でダントツ(断然トップ)だ。この要素は企業の信仰心にある。「常在此不滅」「常説法教化」であろう。
三十四、自分で自分を褒められるような人生でありたい。
●何も出世して偉くなくとも良い。マジメでコツコツと働き続けた人程尊い。子供を育て社会に貢献出来た生涯に自信を持とう。
三十五、規則と道徳と宗教の違い
●規則=これ以上の範囲を超えると罰金等、最低限を決める。(目線が下)
●道徳=規則より上の次元、神や教祖が幸せを求める衆生に説いた教え。罰金や罰はないが制約のある事が多い。(中庸)
●宗教=一般的な道徳をさらに高めて自らも信ずる神や佛に帰依して、自己の人格等品位を高くする。(目線が上)
三十六、お葬式も簡略になりそう。
●不景気で経済活動が地味になるが、こんな事は昔も今も同じ。
三十七、過去帳はその家の信仰記録簿。
●過去帳の戒名の不揃いは、その家の信仰の盛衰を表す。出来れば熱心な人が出来たとき、追号して統一を勧めたい。
*鬼=頭に角を生やし、虎革のパンツをはいて鉄棒を持つ姿。
●暦の十二支の丑寅の方角(北東)を鬼門というが、この丑(うし)と寅(とら)にあたる。従って牛の角と虎革という俗説あり。鬼門は貴門の意(尊い方角の意。)
三十八、お坊さんも煩悩一杯。佛にも微妙だが三悪道あり。
十界互具の見本。
●佛の三悪道とは
一、これだけ言ってわからないのか(瞋)
二、救いたい。助けたい(貧)
三、「わからないかな」とため息(痴)
●巨人が負けた翌朝、機嫌の悪い本山の貫首さん。阪神が勝った時にお願いすると難しい話も殆どOKしてくれた老師。
●佛の顔も三度までとも言う事あり。
三十九、若い時ほど純真だ。
●歳を取れば落ち着いて風格が出てくる思っていたが、段々ズル賢くなって生きそうだ。品格は若い時に、どんどん作っておきたい。
四十、教化には時間がかかる。
●ローマは一日して成らず。「速やかに佛身を成就」の速やかは、人や時によって違う。焦らない事。
四十一、国旗、国家のルーツは聖徳太子の佛教から。
●聖徳太子が佛教を取り入れたのは、日本国民の精神レベルを引き上げ、知性豊かな國と国民にしたいと願われたからで在る。世界で最も歴史ある国旗、国歌に日本人の誇りを持って。
四十二、創業者の理念と菩薩行が、企業の盛衰を決める。
●多くの企業が出来るが、創業者の基本理念によって、その継続と発展を決めている。
四十三、学校への通学時や退行時の子供と挨拶をしたい。
●子供相手でも言葉を交わし難い。相手の反応があると嬉しいが、無表情や、反応のない時も挫けない事。「オハヨウ」「サヨナラ」自信を持って声をかけると、相手がしてくれるようになる。衣姿を見ている彼ら
四十四、やはりアメリカの心は大きい。
●世界をリードするアメリカから学ぶ事は多い。「あのジョー、デマジオ(ヤンキース黄金時代の不動の四番打者)も「テッド、ウィリアムス」(近年最後の四割打者)も、控え選手から始まった」=アメリカの心より。
●北朝鮮の平壌ヘニューヨークフィルハーモニックオーケストラの文化使節派遣。
四十五、みんなが経験した青春は苦いものだったが、思い出のある人は幸せ。人生とは、
一、人に生まれる=赤=赤ん坊
二、人に生かされる=青=尻が青い、青年
三、人として生きる=黄=黄金時代
人を生む=家庭を持つ
四、人を生かす=白=老年=円熟期
人を育てる。経験を生かす。
五、人に生かされる=黒=生かされて死を迎える
=老人時代=再び生まれ変わる。
四十六、時には布教に失敗するが、がっかりするな。
●徐々に教化と思っていたが、ご主人の急死で中断。
●「私の家は、やはり昔から〇〇宗です。何しろ親戚がウルサいものですから」と昔からにコダわる事が多い。
●昔からといっても、家の宗旨が決まったのは、古くて江戸時代だろう。反対に「私の家は昔から日蓮宗です」と一言ってくださる度に、教化して下さった先師に感謝。
四十七、お寺が永遠に存在する有難さ。
●五十年続いた歯科医院も百年続いた内科医院も後継者が無く廃業。お寺は何とか前もって後継者を考える。決して安泰ではないが、子供や弟子に「お寺の意義と良さ」を伝え続けねば同じように廃寺となる時代だ。檀信徒の為にも経文通り「久遠実成」であって欲しい。
*常(つね、じよう)恒、毎(つね)に。
●壽量品のお自我偈の中に「常」の字が九ケ所も出てくる。
一、常=一定の巾のある布が、ひっぱてもひっぱても出てくる状態を言う。一定の巾とは変わらないの意、正常、無常、常住等あり
二、恒=何時も動かないで、一定して変わらない事。恒久、恒例、恒産等あり
三、毎=母と同系の意で、次々と子を産むように事物の一つ一つをさす。毎日、毎度等
●羅什三蔵の名訳、参考までに譬喩品に
常独処山林/恒久善事/毎作是念と使い分けられている。
●参考までに、神力品偈には=受持二ケ所、持が五ヶ所出てくる。従って神力品は『持』がテーマ
四十八、お墓の参詣の仕方で、その家の事情がわかる。
●何時もキレイなお花が入れられている時
●自分のお墓だけキレイ。隣、近所はオカマイなし
●参詣が途絶えると、お墓も汚れてくる。
四十九、年寄りは、男と女の「ときめき」も大事。
●ボランティアや同窓会、老人クラブ。菩提寺の行事、それに旅行、元気と生きる喜びを得る。
五十、お題目信仰の私達だ。自信を持って生きよ。
●お祖師様が「日本一の法華経の行者」と仰ったその弟子たる私達だ。少々のミスにクヨクヨするな。自分が選んだ道に自信を持って下さい。
●一旦、信頼して選んだ人物を大事に育てよ
●他宗から見て凄い祖師の信徒達が羨ましい。キリスト信仰の内村鑑三の「代表的日本人」を見よ。
五十一、ヴェートーベンの菩薩行。
●日本人ばかりではない。世界にも多くの菩薩が入る。二十世紀の帝国主義から抜け出した地球人。法華経の思想が世界に通じるようにしたい。皆帰妙法である。
五十二、但行礼拝とは、常日頃から
●子供相手でも、なかなか始めは合掌し難い
お寺の本堂前では必ず合掌。これが常日頃から癖になるようになると、何処でも何時でも出来るようになる。インド、タイ、ヴェトナム等のごとくにしたい。
●元気な子、一寸会釈する子、無表情な子。様々なご縁。やがて挨拶の大事な事がわかってくれるだろう。
五十三、日蓮宗には他宗に羨ましがる宝物が一杯ある。
●段々良くなる法華の(大)太鼓、団扇太鼓、元気溌剌リズミカルな木鉦、叱時激励される木剣、これらは先師が考えられた貴重な布教の戦力。大いに活用せねば、
●「販売は断られた時から始まる」とは商人の諺。「布教も断られて始めて大切さを知る」御祖師様と同じ苦労を知る。
五十四、ケネディが大統領就任演説で一言った。
●「わが友である世界の市民諸君、諸君の國が諸君のために何をしてくれるのかを、問い賜うな。あなたが祖国のため、何が出来るのかを考えて欲しい」と。
●上杉謙信は「義」を、直江兼続「愛」を信条とした。義は「理」であり愛は「愛情」である。法華経の方便品は「理」壽量品は「情」即ち「事」である。愛情とは佛の本意である事を知る。
五十五、印象に残る講義が出来るのが先生である。
●自分の人生に強烈に残る示唆を与えてくれた先生に会えたご縁。余程の幸運と喜べ。
●反対に教える時は、よく勉強した成果を生徒に与えたい。夢や希望を、そして生徒や檀信徒の将来に影響を与える程の話をせよ。上手でなくとも良いから、心を込めて懸命に。
五十六、心=性、情、意=二十六の次*で説明済み。
●心は見えるもの、見られるもの。野球でピッチャーが急に乱れるのは心の動揺があるから態度に出る。嘘をついて動揺する
五十七、生きる力は若い時から養っておけ。
●子供の時の唱歌、毎日の読経や菩提寺の行事やお参り、ご近所との挨拶、オシャベリ、カラオケ、ゴルフ等趣味同好の集い、町会、PTA等のボランティア、男と女の老人会等多くの人たちと交流を深めておきたい。
五十八、そろそろ引退か。
●どんな役職も、何時かバトンタッチをせねば成らない。任したら大きな目で見守りたい。出来るだけノウハウも伝えておきたい。
五十九、企業も栄枯盛衰あり。
●組織や機能も勤続疲労をする。絶えず新しい血液の補充をしなければ老化する。その兆候は、どんどん現れる事を自覚しよう。
六十、布教の成果は一日にして成らず。
誰にも必ず大きなチャンスは一度は訪れる。
●布教も商いも同じ、コツコツと積み上げてこそ大輪が咲く。早く咲いた花は早く散るものだ。火の如き信仰よりも、水の如き信仰を。訪れたチャンスを必ずつかむ実力と勇気を持とう。
六十一、ご遺文を毎日拝読しよう。譬え一行なりとも。
●人物の事を詳しくしりたいときは「自伝」を読むのが一番だ。ご遺文は「日蓮聖人」の自伝である。
●例=「福翁自伝」「ベートーベンの手紙」「余は如何にしてキリスト信者になりしか」(内村鑑三)「ガンジー自伝」「チャーチルの第二次世界大戦回顧録」「原敬日記」等。
●芝居や演劇には「台本」がある。「台本」が良いと「役者」も良い演技が出来る。私達は佛様から最高の「台本」である「法華経」を頂いている。「信仰の寸心を改めよ」と日蓮聖人が仰ったのは、今までの「台本」である余経を捨てて、佛の遺言である法華経を「台本」にして生きなさいと言う事である。
*宗旨を変させる事(改宗)は、余程の決意がないと変え難いものだ。
●愛読の新聞を変えるのに、良く似ている。時間がかかるのが当たり前。
*説教や法話を締め括る時は、必ず法華経、日蓮聖人のお話で終わる事。例えば偉人や教訓で終わるような事等、順序を逆にすることは、絶対しないこと。
以上
*釈噂の出家は十九歳、成道は三十歳
△釈尊の出家は十九歳、三十歳が成道、一代聖教五十年。これが日蓮聖人が、お説きになった本化の法門です。現在一般的に佛教で言われるのは、三十歳出家、三十六歳又は三十七歳成道と言われます。現在の佛教学者もよくこのように申します。
けれども八十歳御入滅の釈尊の一代聖教五十年から申しますと、これでは聖教御一代四十二年又は、四十三年になってしまいます。
△法華経をお説きになったと言われる晩年の八年貫の根拠(依法不依人)
一、無量義経 説法品第二 四十余年未顕真実
二、妙法蓮華経 従地涌出品第十五
従是已来 始過四十余年
とあります。
三、開目抄(定本五五〇頁)
二には教主釈尊は住劫第九の減、人壽百歳の時、獅子頬王には孫、淨販王には嫡子、童子悉達太子一切義成就菩薩これなり。御年十九の御出家、三十成道にして実報華王の儀式を示現して〇
以上まさしく、「依法不依人」の義から本化の法門は、釈尊の御出家は十九歳、成道は三十歳でお話する事が肝要です。
*末法に生まれた日蓮聖人とその根拠
近年の学説では釈尊御入滅を
一、衆聖点記説 BC四八五年
二、宇井伯寿説 BC三八六年 日蓮宗事典(一七一頁)
三、中村元説 BC三八三年 「釈尊」参照
となってますが、
一、日蓮聖人当時の佛教界の定説として、周書異記(説)(日蓮宗事典、一八一頁、参照)を根拠とするのが通例でありました。(現在、佛教的には未確定だが)
二、関目抄(定本五九二頁、五九三頁)その他
当世は如来滅後二千二百余年なり〇周の第四昭王の御宇二十四年甲寅四月八日の夜中に天に五色の光気南北に亘って昼の如し〇大史蘇由占って云く。西方に聖人生まれたり〇
三、周書異記の記述
月満御書(定本四八四頁)
災難興起由来(定本一五九頁)
一、周の昭王二十四年(BC一〇三〇年?)四月八日を生誕とし(中国の歴史=周の起りより)
二、周の穆王五十二年(BC九四九年)二月十五日を入滅、とあるようで、この年代から正法一〇〇〇年、像法一〇〇〇年をとると
四、末法の到来は我が国の後冷泉天皇、永承七年(一〇五二)でありますから、即ち釈尊滅後二〇〇一年となります。
五、日蓮聖人のご生誕は
貞応元年二月十六日(一二二二年)ですから
1222−1052=170(末法に入って)です。
正法一〇〇〇年+像法一〇〇〇年+一七〇=二一七〇となります。
六、関目抄に書かれた文永九年(一二七二)は
1272−1052=220年
それに正法一〇〇〇年、像法一〇〇〇年を加えると
220+2000年(仏滅後)
とまさしく仏滅後二二二〇余年であります。
七、従って現在平成二十一年(二〇〇九年)は仏滅後
2001+BC949(三の2)=2950年
約三〇〇〇年となります。(これが大事な法門です)
△以上、日蓮聖人のと遺文を申心にお話する事が、私共日蓮宗布教師の務めであります。