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お知らせ

記事公開日:2023年11月13日

日本スピリチュアルケア学会 第16回学術大会

【研究大会】
日本スピリチュアルケア学会 第16回学術大会
「ともに揺れ、ともにいる―スピリチュアルケアのまなざし―」
【主催】
日本スピリチュアルケア学会
開催担当:愛知学院大学
【日時】
2023年11月4日~5日
【場所】
愛知学院大学 名城公園キャンパス
【公開講演】
沼口諭氏(医療法人徳養会理事長)
【公開シンポジウム(開催担当企画)】
[シンポジスト]
伊藤雅之(愛知学院大学文学部宗教文化学科教授)
高宮有介(昭和大学医学部医学教育講座客員教授(緩和ケア))
中井珠惠(上智大学グリーフケア研究所非常勤講師(チャプレン))
西岡秀爾(上智大学グリーフケア研究所客員所員(曹洞宗僧侶))
安田裕子(岐阜県立大学看護学部教授)
[司会]
西平直(上智大学グリーフケア研究所副所長)
【シンポジウムA(会員企画)】
[シンポジスト]
安藤泰至(鳥取大学医学部保健学科准教授)
河合香織(ノンフィクション作家)
児玉真美(著述家)
坂井佑円(仁愛大学人間学部心理学科准教授)
[コメンテータ]
島薗進(上智大学グリーフケア研究所客員所員)
[司会]
安藤泰至
【コメント】
 今回の学会の講演やシンポジウムを通して、「スピリチュアルケア」がどこで、どのようなときに、誰に対して行われるのかという事を考えさせられた。
 公開講演では、自宅で亡くなることを希望する人が半数以上いる中で、実際は施設で亡くなる人が約75%もいるという事が指摘された。このことから、在宅医療や地域包括ケアシステムといった、自宅での看取りや終末期医療を受けられる体制が整えられている途上であることが説明された。
 公開シンポジウムは、「コンパッションとスピリチュアルケア」というテーマで行われた。現代は新自由主義的価値観が社会全体に広がっている中で、自由競争や自己責任論が強調され、自己や他者への思いやりが忘れられがちである。このような社会の中で、自己や他者のコンパッションの実践が重要である事も語られた。
 シンポジウムAでは、安楽死や尊厳死、出生前診断や着床前診断、自殺や引きこもりなどの課題から、スピリチュアルケアはどのような人のどのような苦悩に向けられるのかを考えた。スピリチュアルペインは、ある定義によると「自己の存在と意味の消滅から生じる苦痛」とされている。「自己の存在の消失」、それは「死」という言葉でも表現される。ここでは、スピリチュアルペインは死ぬ間際に生じるものであると理解されるだろう。しかし、身体的には健康だが、自己の存在に意味が見いだせなくなってしまったとき、それもまた「自己の存在の消失」と捉えられるのではないだろうか。
常に進歩していく医療技術やそれに対する考え方などへの対応も日々問い直していかなければならないと考えさせられた。