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お知らせ

記事公開日:2023年11月13日

日本仏教社会福祉学会 第57回学術大会

【研究大会】
日本仏教社会福祉学会第57回学術大会
「仏教的死生観の現代的意義」
【主催】
日本仏教社会福祉学会
【日時】
2023年11月4日~5日
【場所】
同朋大学
【基調講演】
ケネス田中氏(武蔵野大学名誉教授 仏教伝道協会・大正大蔵経英訳編集委員長)
【シンポジウム】
[シンポジスト]
坂井佑円氏(仁愛大学)
河村諒氏(愛知県立大学)
村上逸人氏(同朋大学)
[コーディネーター]
伊藤眞理子氏(東京福祉大学)
【コメント】
 基調講演では、ケネス田中氏によりアメリカにおける仏教の受容について述べられた。アメリカはキリスト教の背景が強いが、仏教的な死生観に共感する人も多くなっているという。特に、「死」や「マインドフルネス」などについての関心が高く、「spiritual but not religious」(無宗教型スピリチュアル層)」という、特定の宗教に属さず精神的な豊かさを求めるという信仰態度の人も多い。また、アメリカでは宗教は社会のためにあるべきであるという文化が強く、仏教者を中心に「Socially Engaged Buddhism(社会参画仏教)」と呼ばれる平和運動も起こっている。
 シンポジウムでは、「仏教はいかに高齢者社会福祉に貢献できるか」というテーマで議論された。話の中では、介護施設で亡くなる方の数の増加に伴って、高齢者施設での看取りや終末期ケアのニーズが増加傾向であることが指摘された。
そのような中で、仏教者がどのような活動をしているのかというところで、高齢者施設に僧侶が法話をしたり利用者の話を聴きに行くなどの訪問活動やそこでスピリチュアルケアや宗教的ケアを提供していることも報告された。
しかし、高齢者施設での宗教者のスピリチュアルケアを実践する上での課題も指摘された。利用者の認知症の進行によって生や死に関する発言が乏しい、利用者がそもそも宗教を求めていない、施設職員の宗教への不理解、施設側ですべての宗教・信仰に対応できないなどである。宗教者が高齢者施設でスピリチュアルケアを実践するには、施設側の体制はもちろんであるが、介護職員個人の内的要因も重要であることが述べられた。