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お知らせ

記事公開日:2020年02月26日

慰霊をめぐる現在

【シンポジウム】
慰霊をめぐる現在

【主催】
(公財)国際宗教研究所 上智大学グリーフケア研究所

【日時】
2020年2月22日(土)13時00分

【場所】
上智大学

【講演】
慰霊をめぐって
川上直哉(日本基督教団石巻栄光教会 牧師・被災支援ネットワーク 東北ヘルプ事務局長)

「慰霊による目覚め 憎しみから対話・友情へ」
西由江(立正佼成会習学部青年ネットワークグループ 次長)

『日本の社会・雇用情勢と外国人労働者の必要性』
ティック・タム・チー

日航機事故における慰霊空間の形成と死者の位置づけ
名和清隆(浄土宗総合研究所)

​【趣旨】
メディアは引きも切らず、悲しい出来事の発生したことを報じている。そしてメディアは、生命が失われた現場に多くの人々が足を運び、供え物をして合掌してゆく姿も伝えている。年齢・性別や国籍、また宗教・宗派の違いに関係なく、さらには信仰心の有無をも超えて、人々は慰霊のために現場に集まってくる。
大震災被災地で催される慰霊祭には、月日が流れようと、いまも多くの人々が参列している。日本で死亡した技能実習生の慰霊をするベトナム人僧侶の活動には、在日ベトナム人はもとより、多くの日本人も敬意を表し賛同の声を寄せる。これらは、慰霊というモティーフが人を引き寄せる強い力を持つことを示唆している。
また慰霊は、それが悲しい出来事に関わる場合には、遺族だけに託された課題であることを超えて社会全体で取り組まれるべきものになっている。戦争・震災・事故の犠牲者慰霊にあたり、社会の未来のために平和の尊さが訴えられ、悲しい記憶の風化することに警鐘が鳴らされ、また安全性の弛まぬ追求の必要も説かれているはずである。すなわち慰霊は、宗教的ではない種々のテーマに結びつく。
慰霊を通じて宗教は非信者に結びつけられ、社会の諸問題にも結び付けられる。そしてそれによって宗教のプレゼンスは高められることがあるだろう。今実践されている慰霊の活動に、本シンポジウムは目を向ける。そこに「宗教離れ」の時代の宗教を考えるヒントが潜んでいると考えるからである。

【コメント】
今回の講演は、新型肺炎が流行っているにも関わらず、約100人ほどの参加者がみられた。4名の講演を聞いたのち、会場からの質問などを受け付ける全体討議が行われた。講演者、質問者ともに白熱しながらも、時折会場に笑い声がする良い緊張感で進行していった。特に時間を割いて議論されていたのが、「弔い」という言葉の持つ意味や、宗教者として「慰霊」というものにどう向き合ってくのか、というものだった。これに関して言えば、正解などはなく、今後も宗教全体で取り組んでいくべきこと。と位置付けてシンポジウムは終了となった。