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お知らせ

記事公開日:2019年11月28日

第21回BDKシンポジウム「仏教と医療」

【シンポジウム】
第21回BDKシンポジウム「仏教と医療」

【主催】
公益財団法人仏教伝道協会

【日時】
2019年11月28日 18時30分~20時30分

【場所】
仏教伝道センタービル8F

【講演者】
[報告者]
川野泰周氏(精神科 心療内科医・臨済宗建長寺派林香寺住職)
井川裕覚氏(関東臨床宗教師会 代表・高野山真言宗歓楽寺住職)

【趣旨】
今日、メディアなどを通じて様々な場面で仏教・僧侶・寺院の社会的役割にスポットが当てられ、人々が仏教を身近に感じられるようになりました。しかし、このような現象を支える基盤となっているのは、実際に仏教者として真摯に様々な問題の解決に取り組む方々の活動です。最前線でこのような活動をされている方の生の声を通して、仏教・僧侶・寺院の役割についてさらに深く再考し、仏教への認識を新たにしていただくことを目的としています。
(HPより抜粋)
西洋医療の発達によって不治の病は減少傾向にみえる一方、増え続ける心の病、そして加速する高齢化社会。
そんな現実に対して宗教者が果たす現在の役割とその先の未来とは?
医療と仏教の接点を見つめ、新たな可能性を探ります。
(案内チラシより抜粋)

【コメント】
川野泰周氏からは「カラダに効く仏教」と題して講演され、精神科医でもあり仏教者でもある立場から感じられた、「本当の心の医療とは」との疑問から、白隠禅師の教説と、「正念」の現代的解釈としてのマインドフルネスが有効であり、その実践を行っていることが話された。エビデンスを軸にしながらも「スピリチュアリティ」の観点から医療と宗教の垣根は低くなっていく、保険・医療・福祉の各分野で、マインドフルネスの活用は今後さらに拡大するだろうことが示唆された。
井川裕覚氏からは「生死の現場と向き合う〜人生の最終段階に学ぶ〜」と題して講演され、死への恐怖・生きる意味の喪失・人生の後悔といった「いのちの現場からの問いかけ」に宗教者がどのように関わっていくことができるのか。空海の死別体験から、誰にでも起こりうる悲嘆と、宗教が持つ死別の再解釈の可能性が示され、また同時に、公共空間においては、ケアする者が相手の価値観や世界観の中に入って活動をしていく臨床宗教師としてのケアのあり方も示された。講演の後半は、臨床宗教師として実際に活動していく中で出会った様々な方との関わりが具体的に話され、既存の教義や修行体系を一方的にとくのではなく、現場の視点から仏教の伝統を再解釈し続けることの重要さが示唆された。