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お知らせ

記事公開日:2019年09月27日

葬式仏教価値向上委員会第24回研究会

【シンポジウム】
第24回研究会テーマ
「お寺葬のコツ、教えます!−お寺葬でお寺が変わる」

【主催】
寺院デザイン主催 葬式仏教価値向上委員会

【日時】
2019年9月26日 13時30分~16時30分

【場所】
仏教伝道センタービル

【講演者】
[講師]
小林弘和氏(一般社団法人日本寺葬協会代表理事)

【趣旨】
お寺葬でお寺が変わる
近年、仏教界では、お寺での葬儀に取り組むお寺が増えてきました。
これまで、葬儀社に言われるがままに導師をつとめることが多かった仏教界に、新しい風が吹き始めていると言えなくもありません。  
その一方で、お寺葬に取り組むお寺の中には、遺族との間あるいは葬儀社との間に考え方のズレを生じたまま葬儀を進めていったばかりに、小さなトラブルを起こしているケースもあるようです。
しかもそのトラブルは表面化せず、遺族や葬儀社が我慢して、潜在的に不満だけが残るというということになりがちです。  
せっかく、いい葬儀にしようと思って始めたお寺葬なのに、不満を生んだだけということになってしまっては、何のために苦労したかわかりません。

お寺の理想は押しつけになる可能性が
お寺葬がうまくいかない最大の原因は、コミュニケーション不足であります。
住職の理想のお葬式というものを実現するのがお寺葬であるとは思いますが、理想を押しつけすぎると、そこに矛盾が生じる可能性があります。  
葬儀社ときちんとしたコミュニケーションをとることはもちろんですが、施主ともポイントを押さえたコミュニケーションをとることとは大切です
住職の思いが強ければ強いほど(それはいいことなのですが)、押しつけになってしまう可能性があるのです。  
また、せっかくお寺葬を企画したのに、希望する人がほとんどいないというお寺もあります。
パンフレットをつくり、行事のたびに説明しているのに、あまり反応がよくないということです。  
それはおそらく、説明に問題があるか、企画が檀家の望むものになっていないかのどちらかです。
説明にしろ、企画にしろ、檀家の立場にたってのものでないと、魅力的なものにはなりません。 

いいお寺葬を実現するために 
いいお寺葬を実現するためには、 
(1)企画・説明・段取りが檀家の立場になって考えられているか、 
(2)いい葬儀社を選び、葬儀社ときちんとしたコミュニケーションがとれているか、 
(3)葬儀に至るまでの設計や段取りがきちんとフロー化され、誰でも対応できるうようマニュアル化されているか、 などの要素が重要です。  
葬儀社にお寺が一方的に指示するような葬儀ですと、かなりの確率で矛盾が生じ、檀家に不満が残る葬儀になります。
葬儀社とはお互いに意見を言い合える関係ではなくてはなりませんし、対等の関係性であることも大切です。
また、葬儀の設計や段取りを、施主や葬儀社ときちんと共有できるための共通のフローも必須です。

お寺葬のノウハウ
今回、葬式仏教価値向上委員会では、一般社団法人 日本寺葬協会の小林弘和代表理事を講師にお呼びして、「お寺葬のコツ、教えます」をテーマに研究会を行います。  
日本寺葬協会は、長野市を中心に、実際にお寺葬を施行する葬儀社でありますが、近年は、寺葬を進めたいと考えるお寺や葬儀社へのノウハウ提供にも取り組んでいます。  
お寺葬が軌道に乗り始めると、葬儀における檀家とのコミュニケーションの機会が格段に増えることになります。
それは、お寺への親しみや信頼が高まることであり、檀家の世代交代がスムーズに行われることにも繋がります。

これからお寺葬に取り組んでみたいお寺、すでに取り組んでいるがもっと質をあげていきたいと考えるお寺など、様々な方に参加していただければ幸いです。

【コメント】
第24回葬式仏教価値向上委員会へ参加してまいりました。
お寺で葬儀を行うにあたり、生じてくる様々な問題について、多くのノウハウと実績を以って丁寧なご説明をいただきました。
葬儀を行う遺族の満足度が高いこと。従来よりも葬儀費用が抑えられること。葬儀以降、お寺との関係がより強固なものになり、回忌供養や行事への意識が高まること等々、葬儀社・遺族・寺院の三方にメリットを感じさせる内容でした。
日本の葬送文化の背景として、以前では当たり前にあった、お寺や自宅で行う葬儀から、平成30年の間で爆発的に拡がった会館ホールでの葬儀へとシフトしました。
家族が亡くなった直後、遺族は宗教者と過ごす時間よりも葬儀社と過ごす時間の方が多くなりました。
お寺葬であれば、宗教者もまた葬儀社とともに遺族との時間過ごすことができます。グリーフケアの観点からも、遺族の満足度は従来の形式的な葬送より高いと思われます。
お寺で行う葬儀は時代に合わせた、新たな提案であると感じました。