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お知らせ

記事公開日:2019年02月18日

立正大学第104回公開講座「オウム事件から考える我々と社会」

【シンポジウム】
立正大学第104回公開講座「オウム事件から考える我々と社会」

【主催】
立正大学・品川区

【日時】
2019年2月17日 14時~16時50分

【場所】
立正大学 品川キャンパス 石橋湛山記念講堂

【講演者】
原田隆之氏 (筑波大学人間系教授)
西田公昭氏 (立正大学心理学部教授)
貫名英舜氏 (静岡県富士宮市常泉寺住職)

【趣旨】
平成も終わりに差し掛かり、社会を震撼させたオウム真理教の事件は、教祖以下13名の死刑執行という一つの区切りを迎えました。教団組織の特殊性もあって、世間では当事者の異常さが殊更強調される報道も多く聞かれます。
しかし一方で、多くの犯罪事件にも増して、そこには人間が普遍的に持つ心性、心のメカニズムもまた見いだされます。
こうした事件を二度と繰り返さないためには、事件を風化させることなく深く理解するとともに、我々一人一人が自分自身を見つめ、社会の在り方を考えていく必要があります。
本講座では、オウム真理教事件の当事者に直接かかわった専門家の立場からオウム事件を振り返るとともに、我々一人一人が持つべき姿勢について、深く考えていきます。(案内HPより抜粋)

【コメント】
公開講座では、犯罪心理学の視点、心理学の視点、討論では僧侶の視点を加え、オウム事件についての分析が述べられました。

それぞれ異なる視点でしたが、共通していたのは、オウム事件により、戦後に家庭・家族のロールモデルが構築できなくなった社会背景、そんな中で人生において生じる問いに答えること(自己実現)が叶わなくなり、やがてその答えを自分にとってのカリスマ的リーダー等、他の判断に求めるようになる人が増えていたことが浮き彫りとなったことでした。
 
いわゆる「依存」になりやすい現代社会の構図。そうして依存する人は、決して特別な人ではなく、我々の生活の中には様々な依存が潜んでいる。
サリンを撒いた犯人たちも、犯罪心理学の視点によれば、いわゆる「モンスターのような人格」というわけではなく、依存によって盲目的になり、自分たちが起こす行動によりどういう結果を招くかも分かっていなかった、我々と何ら変わらない「凡人」だった。
 
我々が考えるべきは、この犯人たちを「自分たちとは違うモンスターのような存在」と隔絶して考えるのではなく、
自分たちの中にも、そうした依存の危険が潜んでいることを認識して、日常に置けるどのような問いにも、一度自分の頭で考えることが大事だろうということではないか。
という自分の身に置き換えて考えるべき、示唆的な内容でした。