記事公開日:2018年06月22日
葬式仏教価値向上委員会第19回
【シンポジウム】
第19回研究会テーマ
「供養をめぐって人々は何を考えているのか?
ー石材店から見たお寺と供養の現在」
【主催】
寺院デザイン主催 葬式仏教価値向上委員会
【日時】
2018年6月21日 13時30分~4時40分
【場所】
仏教伝道センタービル
【講演者】
[講師]
佐野雅基氏(佐野石材代表取締役・日本石材産業協会 墓石部会長)
【趣旨】
ー相談しやすいはずのお寺が、相談しづらい存在にー
お寺というのは、本来は、何でも相談できる場所であるわけですが、現在は、なかなか相談をしづらい場所になっています。
特に普段、あまり接したことのない人にとっては、菩提寺の僧侶は、ちょっと近寄りがたく、何をどう話せばいいのかわからないというのが現実です。
その結果、げんだいで現代では本来相談しやすいはずのお寺が、むしろ相談しづらい存在になってしまっているのです。
お寺は、檀家の「いい顔」しか見ることの出来ないポジションに追いやられてしまいました。
「うちのお寺は違う。何でも言える関係をつくっている」「うちの檀家は、お寺に厳しいことも言ってくれている」と言うご住職もいるかもしれません。
確かに、なんで何でも言ってくれる、たよりになる檀家さんのいるお寺はあるでしょう。しかし、そもそもそういう人は、一部に過ぎません。
つまりお寺にとって気分の良くない話は、ほとんど入ってこないというのが現実なのです。
ーお寺に都合の悪い情報にこそヒントがー
ところが、石材店に対しては、檀家も本音を言います。遠慮する理由もあまりありません。実はお寺のことは石材店に相談するという人はけっこう多いのです。
つまり、石材店はお寺以上に、檀家の考えが見えているということです。だからこそこれからのお寺は、石材店からの情報にもっと耳を傾けるべきだと思うのです。
本当は、お寺に都合の悪い情報にこそ、宗教活動をしていく上で大切なヒントがつまっています。
そうした情報に触れることがないと、これから先、どのような方向性に進むべきかを考えることができないのです。
ー「まちゼミ」で地域の人たちとコミュニケーションー
今回、葬式仏教価値向上委員会では、佐野石材(静岡県藤枝市)で代表を務める佐野雅基氏をお呼びし、こうした、お寺が知らないお寺と供養の話をしていただこうと思います。
佐野石材は、地域とのコミュニケーションを通じて、地域の人が供養についてどう考えるかを捉え、それをどう営業に活かすかに取り組んでいる石材店です。
特に、「まちゼミ」への取り組みは注目に値します。まちゼミとは、地域活性化を目的に商店街などが主催して、地元の専門家などが講師をつとめる連続ゼミ(セミナー)のことです。佐野石材は、「お墓のお手入れ講座」「最新お墓事情」などのお墓関連の講座を中心にまちゼミへの参加を続けています。
佐野氏は、まちゼミに参加することで、「お客さまが何を望んでいるのかを考えるきっかけを与えられる」と語ります。まちゼミでは〈石材店と顧客〉という関係性ではなく、〈講師と生徒〉という新たな関係性が生まれます。この関係性によって、これまでとは違った、人々の本音を聞くことが可能となるのです。
ーお寺の知らないお寺の現実を聞くー
その意味で佐野石材は、一般的な石材店からさらに一歩進んで、人々のニーズに近づいていると言えるでしょう。
また佐野氏は、石材業界の業界団体である日本石材産業協会で墓石部会の部会長を務めています。つまりお墓関連業者のすべての情報が佐野氏のところに集まっていると言っても過言ではありません。
今回、佐野氏には、石材店という立場から「供養をめぐって人々は何を考えているのか?」をお話しいただきます。
お寺の知らないお寺の現状を知ることができる講義です。
【コメント】
葬式仏教価値向上委員会第19回研究会に参加して参りました。
現状認識として、人口の減少、未婚率の増加、お墓に関しては無縁墓や永代供養墓の増加に関してお話いただき、お墓参りやお墓を作る意味を伝えて行かなくてはならないと問題提起されておりました。これに関してディスカッションの中で様々な意見、感想がでまして、非常に盛り上がっておりました。また、石材店が聞くお寺に対してのリアルな不満もお教えいただきました。
また、石材業界の取り組みとしてシナリオプランニングをされたそうです。
(youtubeにて日本石材産業協会シナリオプランニングを計4つ公開)
佐野石材様にて行われている様々な活動(まちゼミ等)についても解説頂きました。
今回の研究会に参加された方々も様々な取り組み、活動をされており、現代に柔軟に対応していく姿勢が大切であるという印象を受けました。