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お知らせ

記事公開日:2018年05月21日

第18回親鸞仏教センター研究交流サロン

【シンポジウム】
第18回親鸞仏教センター研究交流サロン「オリエンタリズム」再考

【主催】
親鸞仏教センター

【日時】
2018年5月15日 18時~20時50分

【場所】
東京都文京区湯島2−19−11

【講演者】
[発題者]
彌永 信美氏(仏教学者・日仏東洋学会代表幹事)

[司会者]
飯島孝良氏(親鸞仏教センター嘱託研究員・清泉女子大学非常勤講師)

【趣旨】
  昨今盛んに叫ばれる「クール・ジャパン」といったアピールの淵源をたどると、「西洋ならざるもの」として多用された「東洋」ということばが思い起こされます。ですが、その「東洋」の内実がどういうものかを言い表そうとすると、思いの外容易でないことに気づかされます。例えばE・サイードの批判などに代表されるように、「東洋/西洋」という世界の分け方自体が、西欧の歴史の中で生み出されてきたものでした。そうした「東洋/西洋」という枠組を西欧が不当に押し付けてきたという批判が、中東やインドなどの原理主義勢力の理論武装へつながったことは、ひとつの事実といえるでしょう。
  彌永信美氏は、西欧世界と自己を差異化する概念として提示されたきた「東洋」を再考され、日本人が「オリエンタリズム」を「東洋人」である自身の優越性を裏付けるものであるかのように自らに引きつけて語ってもきた、と論じておられます。ことによると、近代化の過程で西欧列強に伍するために帝国主義への道を選びながらも、ここぞというときにのみ「東洋の優越性」や「日本独自の特性」を声高に主張するものであったのではないか—彌永氏は、そのような歴史について痛みを伴った自己批判が必要であると述べておられます。これに関しては、西欧で立ち上がった学問枠組である仏教学も、「仏教またはインド文化が影響を及ぼした地域」が「東洋」であるという看方を基にしてきた部分がみられます。そうした点からいっても、「オリエンタリズム」は決して過去の遺物ではないのではないのでしょうか。
  このたび、「親鸞仏教センター研究交流サロン」に日本とフランスを股にかけて東洋学ないし仏教学に従事してこられた彌永氏をお招きし、「東洋/西洋」という二分法にある諸問題について御提題頂くこととなりました。「東洋」概念の再考を通して、我々の自己意識の根底にある二分法や差異化の孕む問題について、皆さまと忌憚なく意見を交える機会としていければと考えております。

【コメント】
親鸞仏教センター主催の研究交流サロンに参加して来ました。これまで意識せずに使用していた。「東洋/西洋」の言葉の淵源をわかりやすく丁寧にお話頂きました。また、この二分法がもつ様々な問題についても言及され、大変意義深い交流をさせて頂きました。