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お知らせ

記事公開日:2018年03月15日

宗教倫理学会公開講演会 ベッドサイドに僧侶の存在する風景ー患者・家族・医療者に果たすべき役割ー

【シンポジウム】
宗教倫理学会公開講演会
ベッドサイドに僧侶の存在する風景ー患者・家族・医療者に果たすべき役割ー

【主催】
宗教倫理学会

【日時】
2018年3月15日 13時30分~15時30分

【場所】
龍谷大学 響都ホール 校友会館

【講演者】
長倉伯博氏(鹿児島県善福寺住職・国立滋賀医科大学非常勤講師・日本緩和医療学会会員)
[司会]
小原克博氏(同志社大学 教授)
[コメンテーター]
室寺義仁氏(滋賀医科大学 教授)

【趣旨】
宗教と倫理の関係をめぐる問いは、宗教が一般社会の中で存在する以上、不可避的に立ち現れる根元的な問いとして、すでに長い歴史を持っている。宗教的信念が超越的・脱日常的な方向を指し示すとき、それは社会で共有されている価値規範との間に、独特な差異を生み出すことになる。それが宗教の存在意義の一つであることは言うまでもないが、同時に、宗教の生み出す価値が、社会の価値形成や倫理観にしばしば大きな影響を与えてきたという現実がある。社会の世俗化や宗教の多元化が世界的な規模で進行する今日にあっても、宗教と倫理との間には、絶えず問い直さなければならない緊張関係が存在している。しかし、科学やテクノロジーの急速な進展によって、人類は未曾有の価値混迷の時代に直面しており、既成宗教が旧来の価値観を一方的に振りかざすだけでは、到底その混迷を打開することはできない。過去の伝統を踏まえながら、宗教と倫理の関係を、近未来を見据え根本的に問い直さなければならないのである。
(HP 宗教倫理学会の趣旨より)

【コメント】
講師の長倉氏は、長年医療現場において相談・傾聴活動を行ってこられた方であり、多年に渡るご経験の中から様々な事例を交えてお話された。宗派で行われていたビハーラ研修で、ホスピス医から「臨床になぜ僧侶がいない」との言葉を聞き奮起され、臨床の場に赴くべく100を超える病院へと伺ったそうである、当時ほとんど相手にされなかったが、ついに縁が繋がり今日までの活動になっていると話す。仏教にも、医療にも、文化にも壁があり、それは自ら壁を作っている状態でもあると言う。ベッドサイドに僧侶が自然に存在する風景としていくには、医療と仏教の共通する目的の言語化、ケアチームに僧侶が入ることの意義を伝えること、終末期だけではなく診断時から切れ目のない関わりのあり方、相互のネットワーク構築等の重要性が話された。僧侶自身もこれらの困難さゆえあまり踏み込んで活動していこうとする者も少ないが、臨床宗教師など奮起された宗教者が各地で活動しており、萌芽が育ち始めていることに大きな期待を寄せているとのこと、そのような宗教者をどう温かく見守り育てていってほしいと話された。