記事公開日:2018年02月20日
立正大学第103回公開講座「現代社会を生きるためのマインドフルネス」
【シンポジウム】
立正大学第103回公開講座「現代社会を生きるためのマインドフルネス」
【主催】
立正大学
【日時】
2018年2月17日 14時30分~17時
【場所】
立正大学品川キャンパス 石橋湛山記念講堂
【登壇者】
[報告者]
熊野 宏昭氏(早稲田大学人間科学学術院教授)
三友 健容(立正大学名誉教授)
[パネルディスカッション司会]
田中輝美(立正大学心理学部教授)
【趣旨】
マインドフルネスとは、「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価せずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」を意味し、心の健康や自己の成長などにつながる重要な要素とされています。一方、仏教の世界では、古来、禅や瞑想など、心のあり方についての実践が長く行われてきました。
本講座では、最新の医学や心理学、仏教学などの視点からマインドフルネスや瞑想について紹介するとともに、現代社会を生きていくうえでの心のあり方について考えます。(HPより転載)
【コメント】
近年耳にすることが多くなったマインドフルネスは、マサチューセッツ大学医学校名誉教授のジョン・カバット・ジン博士が1979年に「マインドフルネスに基づくストレス低減法(MBSR)」というプログラムにまとめたのを主な端緒として、医療分野でも注目されるようになっています。
本公開講座では、そうしたマインドフルネスについて、早稲田大学人間科学学術院教授の熊野宏昭氏が医学や心理学の見地から、立正大学名誉教授の三友健容師が仏教学の見地から講演されました。いずれの講演も俯瞰的にマインドフルネスを説明し、明解で要点を押さえた内容でした。
パネルディスカッションでは、立正大学心理学部教授の田中輝美氏が司会となり、主に医学に応用されている「マインドフルネス」と、仏教での「瞑想」の異同について着目される内容となりました。
「マインドフルネス」は一般に、「宗教性」を排除した仏教瞑想とされることが多いが、熊野氏は、そうではなく「宗派性」の排除であることを強調し、仏教瞑想のように「戒」こそないものの、それに類する一定のルールは存在する。と説明されました。
そのように、瞑想のプロセスとしては同様のものも多い「マインドフルネス」と「仏教瞑想」ですが、その違いについて、三友師は、「マインドフルネスは、心理療法などのように、苦の解決そのものを目的としているが、仏教における瞑想は、あくまで修行の一手段であり、瞑想や瞑想における効果が目的となることはない。」と述べられていました。
公開講座のため、会場には学生ではない一般聴講者も多く、活発に質問もなされていました。両講演において、瞑想の実践も行われ、そうした方々が興味を持つ機会、あるいはより興味を深める機会となったのではないでしょうか。