記事公開日:2018年02月22日
超高齢社会における寺院の役割—介護者に寄り添う—
【シンポジウム】
超高齢社会における寺院の役割—介護者に寄り添う—
【主催】
浄土宗総合研究所
【日時】
2018年2月19日 13時~17時
【場所】
大本山増上寺 光摂殿 講堂
【講演者】
[基調講演・コメンテーター]
岡村毅氏(東京大学医学部附属病院精神神経科助教・東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と介護予防研究チーム研究員)
[パネリスト(報告順)]
牧野史子氏(NPO法人 介護サポートネットワークセンター・アラジン理事)
卜部敦史氏(映画『まなざし』監督・介護福祉士)
下村達郎師(香念寺住職・ケアラーズカフェ主宰)
野田真智子氏(介護雑誌『Better Care』編集長)
[コーディネーター]
東海林良昌師(浄土宗総合研究所研究員)
【趣旨】
わが国は2007年に65歳以上の人口が二割を越え、超高齢社会となりました。浄土宗総合研究所「現代における老いと仏教」研究班では、超高齢社会の諸問題について研究を進めるうちに、在宅介護における介護者(ケアラー)に関する問題の根深さに気づかされました。介護者は近親者や地域から孤立し、心の不調を抱え、家庭内暴力や時には命が失われるなどの深刻な事態を引き起こすこともあります。
この問題に対して現在注目されているのが、介護者同士が悩みを語り合う場であるケアラーズカフェです。本研究班では、東京都内の浄土宗寺院において開催されているケアラーズカフェの実地調査を行いました。その結果、親身に悩みを聞いてくれる僧侶・寺族、芳香の漂う心やすらぐ空間、そして何よりすべてを受け入れてくれる仏さまがおられる寺院という場は、介護者のストレスを軽減するのに適していることが分かってきました。
本シンポジウムでは、介護に関わる有識者や実践家を交えてディスカッションを行い、上記のケアラーズカフェのような新しい取り組みをふまえて、超高齢社会における寺院の可能性を提案し、未来に光を当てていきたいと思います。(浄土宗総合研究所HPより部分転載)
【コメント】
浄土宗総合研究所シンポジウムに参加して来ました。本シンポジウムに先立ち、午前中には在宅介護の現状をリアルにえがいている「まなざし」の上演も行われていました。基調講演を行った岡村医師(精神科医)、介護者へのサポートネットワークセンター代表の牧野氏、介護雑誌編集長の野田氏、皆さん共通しておっしゃっていたことは、「お寺・宗教者に協力して貰えることは沢山あります。是非とも積極的に参加して下さい。」という事でした。在宅介護が長期化することで、社会や住居を別にする家族・親族からも孤立してしまう介護者への支援を行うことの重要性について認識を新たにする機会となりました。