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イラク間題の平和的解決についての日蓮宗の声明 2003年03月 発行

イラク間題の平和的解決についての日蓮宗の声明

イラク間題の平和的解決についての日蓮宗の声明
 
 今、世界の眼はイラクに注がれております。イラクが大量破壊兵器を開発しているという疑惑調査のため国連査察が行われ、この危機回避を求めて国連安保理に於ける討議が根気強く続けられる一方、軍事的緊張が高まりつつあります。
 一触即発の戦争の危機がまさに世界を襲おうとしているのであります。もし、戦争が始まれば、多くの人々の命が失われることは明かであり、最も犠牲になるのは、幼い子供、女性そしてお年寄り達であります。ましてや大量破壊兵器が使用されれば、その犠牲者の数は想像を絶するものとなります。そして、戦争は、殺教だけでなく、地球の環境や政治・経済など多方面にわたる最悪の影響を及ぼしかねません。
 このような人類の危機を目前にして、法華経と日蓮聖人の教えを受け継ぐ私達は、口を閉ざしていることはできません。
 釈尊は「すべての者にとって生命は愛しい。わが身にひきあてて殺してはならない。殺させてはならない」と不殺生戒を定められ、日蓮聖人は「いのちと申す物は一切の財の中に第一の財なり」と生命の大切さを説かれております。
 私達日蓮宗は、全世界の人々を殺戮・破壊の苦しみに陥れた第二次世界大戦への反省から、戦後、世界立正平和の運動を展開して、世界平和を念願し続けてまいりました。
 いかなる理由があろうとも、戦争という手段は認めることはできません。戦争により国土は荒廃し、尊い人命は多数失われ、またそれによって報復のための戦争やテロが繰り返されるだけであります。
 立正安国・世界平和を宗是とする日蓮宗は、世界各国が国連憲章と国際法を遵守するとともに、戦争ではなく平和的解決方法をもって、世界平和を達成するよう強く訴えるものであります。
  平成十五年三月十三日
日蓮宗宗務総長 岩 間 湛 正