記事公開日:2018年05月02日
宗教者災害支援連絡会 7周年シンポジウム
【シンポジウム】
宗教者災害支援連絡会 7周年シンポジウム
熊本地震と宗教者ーそれぞれのむき合い方
【主催】
上智大学グリーフケア研究所・宗教者災害支援連絡会
【日時】
2018年05月02日 14時~17時
【場所】
上智大学四谷キャンパス 図書館9階L-921
【講演者】
[報告者]
糸山公照氏(真宗大谷派熊本教区光照寺副住職)
矢野道代氏(金光教木山教会在籍教師)
力久道臣氏(善隣教教主)
立野泰博氏(日本福音ルーテル大江教会牧師・九州臨床宗教師会スーパーバイザー)
[コーディネーター]
稲場圭信氏(宗教者災害支援連絡会世話人、大阪大学大学院人間科学研究科教授)
【趣旨】
2016年4月に発生した熊本地震から2年が経ちました。被災地では建物、道路、住居などの復旧が徐々に進みつつありますが、震災からの復興は依然として厳しい状況が続いています。今も多くの被災者は不安、不眠、食欲不振などの災害のストレスを抱えています。長引く避難生活によって震災関連死は200名を超え、その内17名は自ら命を絶ちました。熊本地震は未だに継続していると言えましょう。
しかし、厳しい現状に対して、熊本地震への全国的な風化が進み、被災者への支援団体やボランティアの数は減少の一途を辿っており、支援体制の弱体化が懸念されております。
このような状況の中で、宗教者、宗教団体、諸宗教の連合体は様々な震災対応に取り組んでいます。傾聴活動、災害ボランティア、地域包括ケア、そして自ら被災しながらも周囲を癒し、励ます行動など宗教が持つ特徴を活かし、地道な取り組みが展開されています。
この度のシンポジウムでは、熊本地震への関心が薄れる中、改めて熊本地震の被害を直視し、今、必要な活動と宗教者が果たすべき役割、さらには、将来の災害への備えについて学び合いたいと思います。
(HP抜粋)
【コメント】
報告者より被災後の様々な活動の詳細な報告が行われた。平時からやっていないことを非常時には出来ないという発言が特に印象的であった。宗教施設を、被災者やボランティアが休み、交流出来る場として開放した活動においては、そのような現場での交流の中から、その場に適した支援のあり方が模索され、様々な活動へと展開していった。公共施設を利用し、地域の寺院が共同で開催した復興祭も、被災者にとても喜ばれたが、それも平時からの地域寺院同士の交流があったからこそであるようであった。また、宗教施設が、被災した学校の教師や市役所員などの被災者でありながら、他者に弱い部分を見せることが出来ない者にとってのケアの場として機能していたことも注目される事柄である。
平時から、地域と顔のつながった宗教者となりえているのか、寺院や宗教施設がコミュニティーや地域力を強化するような存在として地域の中心的な存在となっているのか、平時からの宗教者の活動や心構えについて考えさせられる内容であった。