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お知らせ

記事公開日:2018年04月02日

葬式仏教価値向上委員会第18回

【シンポジウム】
第18回研究会テーマ
「あえて今、島田裕巳氏に葬送について聞いてみる
 ーなぜ現代人は、葬送の簡素化を求めるのか?」

【主催】
寺院デザイン主催 葬式仏教価値向上委員会

【日時】
2018年3月29日 13時30分~16時30分

【場所】
仏教伝道センタービル

【講演者】
[報告者]
島田裕巳氏(宗教学者)
 

【趣旨】
『葬式は要らない』が刊行されて、はや8年
 島田裕巳氏の『葬式は要らない』が刊行されて、はや8年がたちます。
 この本が出たことは、当時大きな反響があり、三十万部を超えるベストセラーにもなりました。
 一方仏教界では、この本が刊行されたこと、そして、世間での反響が大きかったことに対して、多くの人が不快感を示していました。そして、この本が葬送のあり方に悪影響を与えるのではないかと危惧する人も少なくありませんでした。
 そして8年がたちました。
 残念なことに、世の中は少しずつ、島田氏がこの著作に書いた方向に進みつつあります。
 直葬、家族葬が増え、当時は言葉すらなかった「墓じまい」も確実に増え続けています。信じたくはありませんが、島田氏の考えが、社会より10年、20年早かっただけ、と思える部分もあります。
 ただ勘違いしてはならないのは、島田氏らが簡素化を煽ったから葬送が変化したということではないということです。
 葬送の形が変わるのは、その背景となるしゃ社会のあり方が変化していることに原因があります。地域コミュニティ、家族制、そうした社会の仕組みが変化し、葬送もそれに合わせて変化しているだけです。
 私たちが島田氏の意見を不快と感じるのは、単に私たちがこうした現実を認めたくないだけなのかもしれません。

今だからこそ、あえて島田氏の話を聞く意味が!
 そして葬送の簡素化は、まだまだ進んでいきます。
 そんな今だからこそ、あえて島田氏の話を聞く意味があるのではないかと思うのです。
 簡素化の流れの原因は何か?簡素化はどこまで進むのか?お寺や仏教界はどんな対策をとればいいのか?
 人は、自分たちの立場を護ってくれる意見の話は聞きたがりますが、自分たちの立場に批判的な話を聞きたくはありません。時には全く違う立場の考えを聞かなければ、変化への対策は見えてこないのです。
 もちろん、島田氏の考えすべて受け入れる必要はありません。
 ただ、ただ、島田氏の話にk聞く耳を持つことは、より現代人の考え方を理解することにつながることは間違いありません。少なくとも島田氏の著作が、多くの人々に受け入れられている現実を無視してはならないでしょう。

 

【コメント】
今回の講演は、様々な問題について世間でどのように思われているか、また、どのような傾向にあるのか等の内容でした。
様々な問題というのも、戒名問題であったり、離檀料、また葬式についてですが、講演の内容を簡潔に纏めると、どれについても原因の一端は我々仏教に携わるものであり、「伝える」という作業を怠った結果であるということだと感じました。
ワークショップにて参加者様と意見交換をした際には、島田氏の講演の内容については非常に現実的で的を射ている話であるという意見が多く、また、参加されていた皆さまは基本的にそのような問題と向き合い、新たな檀信徒との付き合い方をしていらっしゃる方がほとんどでした。
今回の講演を聞き、現実と向き合い、より仏教を人々に伝えていく方法を考えなければと感じました。