記事公開日:2018年01月22日
LGBTとALLYのためのHappy Ending CAFE
【シンポジウム】
LGBTとALLYのためのHappy Ending CAFE
【主催】
House Boat Club
【日時】
2018年1月21日 16時~18時
【場所】
BLUE OCEAN CAFE 参加者約20名
【講演者】
[報告者]
山田 孝行
[コメンテーター]
金澤和英氏(日比谷花壇 ライフサポート事業部)
中村?基氏(新日本キリスト教団 新宿コミュニティー教会 牧師)
【趣旨】
前半は葬祭業者金澤和英氏による、直葬や家族葬で遺族による葬儀が営まれた後の“大切な方たちとのコミュニティに向けたお別れ会”の提案。結婚披露宴のようなお別れ会が紹介され、個人がエンディングノートに記した通りのお別れ会、さらに喪主や葬儀代表者が個人の生涯を懐かしめるような加飾を施すケース、殊に斎席は技のある斎席と変化させ、故人を忍ぶパーティーを(会費制で)行うことが実例を揚げ紹介される。後半に中村牧師の終末期の後を聴く。師の両親は仏教徒と伺うが、神学校を経て牧師となる。また高校教員の経験もあり、現在は記者の仕事も掛け持ちで牧師の活動に努める。そして自ら同性愛者であり、牧師との成立観を論じながらの自己紹介があった。師は男性同性愛者の6割が自殺を考えた事が有るというアンケート結果を提示し、その例として最初に都内有名大学法学部の同性愛者の男子学生が友人(男性)に告白した結果、それがSNSに公開されてしまい自殺する。この事件は学校と事実を公開した男性を相手に係争中だと聴く。2例目に台湾の「葉永鋕事件」これは少女の心を持つ葉永鋕君が校舎内で辱められ殺害される事件。3例目の話(本題と察する)では、パートナーの病・死で苦しんだ同性愛者(残された彼と故人)に死後結婚式を実際に行ったグリーフケアの話だった。概要は男性同性愛者のパートナーが病身と成る。死の直前に病床のパートナーを訪ね立会人不在で結婚を誓った。ところがパートナーの家族には受容されず面会不可となり恋慕の願いが叶わない状態でパートナーは没する。しかし残された彼は「愛するパートナーの死、追慕の念あれども『残された彼』の伴侶の死として認知されない」その事がたまらなく苦しかったようだ。死後に結婚式を行ったという師のグリーフケアの実話を紹介された。
ここで残された彼は故パートナーの遺族が普通の葬儀を営んだ事を否定していないが、自身の立場の弱さを承知しており「追慕の念あれども〜伴侶の死として認知されない」という現実に苦しむ日を重ねた。そして仏教的に言えば安心が得られず軈て師に告白する事と成る。師は組織との相談を含め熟慮の末パートナーの遺影を抱き遺族の承知しない昇天記念日(法事)を営み、その場を結婚式に替えた。残された彼は「パートナーとの結婚を神に認められ、伴侶の旅立ちを祝福し自己の中に安心を得た」という話。
【コメント】
葬祭業者の語り・・・来場者への葬儀プランの紹介がメインであり普通サイズから家族葬・直葬もあるのでクライアントに見合う営みましょう。当初LGBTとの接点は明確ではなかったのだが、施主(喪主)の行う葬儀告別式に参列しても焼香しても安心を得られないケースでは、残された側や友人が発起人となって別会場を用意してお別れ会を行いましょう。さらに(ここに宗教者が拘われば一層)当事者方々に安心が齎されるという価値もあるよ。と説明する所にLGBTお別れ会が見えてきた。
牧師の語り・・・お二人様向けの理解を示す牧師も、現状に於いて成立しているお二人様に発生する葬儀は其々生家での出葬が無難であり、残された側が願うのであれば、葬儀社の提案する上記のようなプランも用意(で自己満足も)できます。推奨のエンディングノートは如何でしょうか?で括られているようだ。
今回のテーマ“葬儀”は遺族のもとで行われる普通の葬儀が執行された後の話であり、目的だった親族が営む“故人がLGBTのそう葬儀”を知ることはできなかった。営業的空気を感じながらもパートナーを亡くす苦しみは、公にできない苦が加算されている側面を知ることが出来た。この先もLGBTの方と双方の家族は交流の度合いや受容の差異から多くの問題を生むだろう。我々宗教者は準備すべきであり、国が同性婚を容認(公認)してから、この問題を論ずるのでは間に合わない。おそらく彼等向けと限定しない「男女平等・差別をしない位号」が求められる時が来るだろう。
※「残された彼」と記したが実際の立場は不明。