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お知らせ

記事公開日:2017年12月15日

葬式仏教価値向上委員会第17回

【シンポジウム】
第17回研究会のテーマ
「インターネットは墓地募集をどう変えたか?
 ──インターネットだからこそ見える人々の本音」

【主催】
寺院デザイン主催 葬式仏教価値向上委員会

【日時】
2017年12月14日 1時~5時

【場所】
仏教伝道センタービル

【講演者】
[報告者]
田中哲平氏(鎌倉新書 ライフエンディング事業部長)

【趣旨】
■墓地を探して検索する心理
■3割がインターネットを通してお墓を買う!
■顧客データをもとに分析
■どんなお寺を人々は求めているか?
■売れるお墓とは何か?
■なぜ自坊のホームページには問い合わせがこないのか?

インターネットと墓地・永代供養墓の募集

 お墓や永代供養墓を募集するということは、お寺にとっては檀家や信者を増やすことと同じ意味を持つ。
 お墓の募集は、今も昔もお寺にとっては無視できない問題である。これがうまくいくか、いかないかは、お寺の未来を大きく左右すると言っても過言では無い。  
 口コミや紹介に頼って、墓地を募集しているお寺もある。石材店の協力のもと、折り込みチラシを配布しているお寺もある。みな、様々な工夫をしながら、募集がうまくいくよう努力している。  
 そんな中、近年、役割が高まっているのがインターネットである。ホームページをつくって、情報発信を行うお寺が増えている中で、墓地の募集もインターネットで行おうということだ。  
 ところが、墓地や永代供養墓の募集において、インターネット戦略が成果を挙げているお寺は少ない。  
 ホームページの墓地や永代供養墓の紹介ページを見て、問い合わせをしてきたという人は、皆さんのお寺でどのくらいいるだろうか? おそらく、月に1件の問い合わせがあるお寺ですら少ないのではないだろうか?  
 その結果、「まだ、そういう時代じゃない」「インターネットでお墓が売れる時代は、まだまだ先だ」と考えている方も多いに違いない。  
 

小さな出版社が、たった10年で一部上場

 鎌倉新書という出版社が運営する「いいお墓.com」というポータルサイトがある。墓地や永代供養墓を紹介するサイトである。  
 実は、首都圏でお墓を買っている人の約30パーセントは、このたったひとつのサイトを通して購入していると言われている。仏教界ではあまり知られていないかもしれないが、石材業界では知らない人はいない超メジャーな“おばけ”サイトなのである。  
 日本全国の石材店が、このサイトに登録し、墓地の募集を行っている。首都圏の石材店の中には、このサイトが無いと、営業が成り立たない会社も少なくないのだ。  
 鎌倉新書という会社は、10年前は、社員10名程度の小さな会社だった。その会社が「いいお墓.com」というサイトをつくったのは、その頃である。  
 それが今年7月、東証一部に上場することになった。もちろん、会社が急成長した結果、上場を果たすことになったのだ。
 そしてその売り上げの大部分を、この「いいお墓.com」というサイトが稼いでいるのである。  
 このサイトが、いかに人々に利用されているか、ということである。前述のように首都圏の30パーセントがこのサイトを通じてお墓を買っている。人は、インターネットを通して、お墓を買うのである。 
大量の顧客データをもとに、人々はどんなお寺を求めているか、売れるお墓とは何かについて分析を話してもらった

【コメント】
〈集客としてのサイトとして〉
・葬儀はスマートフォン(「いい葬儀」)が多く、お墓(「いいお墓」)・仏壇(「いい仏壇」)はインターネットが多い。
・食べログなどと同様で比較サイトとして認知されている。
・ライフスタイルに合わせてた選択肢の台頭を述べていた。各寺院も同様なことすなわちお墓は1つでもサービス、フォローのやり方、使用料の在り方を変える必要があるかもしれない。
・但し、スマートフォン対策は必要であるが、スマートフォンアクセスからは決まりにくい。
・デザインは日常的なものを使用、ヤフーのデザインが変わると変えている。
・最初の一件が出ること、口コミの評価が大切。いろいろアクセスしてくれているが、決まるのは1%である。
〈購入者の傾向〉
 購入者アンケートによると決め手は、アクセス(住居から1時間以内)、周囲の環境(駅からどの程度か。)であり、宗派不問や在来仏教であることなどは問題ではない。さらに口コミは集客のためにはなるが、購入の決め手にはなっていない。経営・管理母体の信頼度も問題にはなっていない。
 アクセスに関しては、1時間以内が原則、ただし圏外の場合自分の住まいと親の住まいとの距離感が問題となる。リゾートにお墓を持つ考えは少ない。お墓は残された人の都合となる。また、散骨は全体の1~2%である。
 墓の総額費用は2015年と2016年を比較すると
全国100万円未満、150万~200万が増え、平均で201.6万から181.5万に変化(20万円ほど減額している。)
永代供養墓は30万円以下は「いいお墓」内にははいらないが、60万から90万が売れている。立地が同じなら、60万でも80万でも同じように売れると言っていた。
人気のお墓の特徴
お墓のバリエーションが豊富、名前に横文字が入っているなどがある。
〈今後の展望〉
日本は多死社会、故に形は変われど「お墓」が必要な人は増え続ける。
(サイト登録について)
登録料、お役様紹介料、システム料金料が無料のプランがあるが、お客さんの資料請求で15%、見学予約で25%かかる。
個人的(岩田)には、都心でも田舎でもアクセスがよく、風光明媚もしくはよく整備された寺院であれば、サイト登録を考えるのもありかと考えるが、自坊では難しいかと考える。

以上